LLPの複雑な税務もまる分かり 

有限責任事業組合(以下、LLP)では、株式会社と同様に会計年度ごとに決算を迎えます。決算時には、貸借対照表や損益計算書を作成する義務が法律によって定められています。また、会計年度の終了後、1か月以内に税務署への申請書を行い、さらに確定申告をし、LLPによって生じた所得についての納税を行っていく必要があります。

有限責任事業組合(以下、LLP)の組成時に登記した「有限責任事業組合契約書」において定めた「事業年度」が、会計年度となります。

株式会社では、会計年度ごとに、株式会社の利益に基づき法人税や事業税などが生じ、株式会社として納税の手続きをします。しかし、LLPでは、LLPとして法人税や事業税を納税することはなく、運営によって生じた利益はLLPを構成する組合員に分配され、その組合員自身が納税者となり、所得税を納税する方式が採用されています。この方式は「パススルー課税」と呼ばれています。そのため、組合員自身が納税義務を負っています。
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パススルー課税により、LLPの損益は組合員に帰属することになりますが、そのタイミング(時期)は、LLPの会計年度(事業年度)の「終了日」となります。しがたって、個人組合員の場合は、「終了日の年」の所得(損失)として扱われ、法人組合員の場合は、「終了日の事業年度」の損益として扱われます。

パススルー課税を通じて個々の組合員が確定申告として納税する税金は所得税です。LLPから分配された利益は、給与所得ではなく、通常は事業所得して扱われます(事業内容により、不動産所得、配当所得、利子所得、山林所得として扱われる場合もあります)。
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所得税だけでなく、LLPから生じた課税売上高に基づき、消費税も納税する必要があります。しかし、消費税も所得税と同様、LLPとして納税することはありません。個々の組合員が納税を行います。消費税の算出基準となる課税売上高は、LLPから利益を分配される際に、同様に各組合員に分配され(利益分配の考え方についてはコチラをご覧ください)ます。但し、組合員に分配された課税売上高が1000万円以下の組合員は、消費税を納税する義務はありません。
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そのほか、事業内容により、固定資産税等の税金を納める必要があります。その際も、LLPとして納税をすることはなく、分配された後の個々の組合員が納税を行います。また、従業員を雇用する場合は、従業員給与への所得税の源泉徴収義務や、住民税の特別徴収、社会保険料等の徴収が発生します。